東京、千葉、神奈川、ペットの往診動物病院です。飼い主様の環境とその子にあった治療方法をご提案いたします。
膝蓋骨脱臼
2017年09月04日 (月) | 編集 |
往診症例です

「歩いていたら急に足をケンケンした」「ジャンプしたあとキャンと言ってそのまま震えている」「病院で膝が悪いですよと言われた」

小型~中型犬の多くで膝蓋骨が日常的に左右に脱臼を繰り返している子たちがいます。

膝蓋骨脱臼は、事故などのアクシデントなどにより外傷性に発生することもありますが、もともと遺伝的・先天的に膝蓋骨の収まる大腿骨の溝が浅く形成不全であることが多いです。

本来は膝蓋骨は太ももの場所である大腿骨の先端の溝の中(滑車内)に挟まり、左右にずれることはありません。

しかしながら、関節の形成異常や、筋肉の動きに微妙なズレが生じると、膝の屈伸運動の際に膝蓋骨が脱臼することがあります。

症状としては、犬たちがケンケンしたり、痛みを訴えることもありますが、飼い主さまから見て無症状であることがとても多いのでなかなか気付かれず、かかりつけの病院で初めて指摘される方も多いかもしれません

実は脱臼そのものは犬たちにあまり痛みを感じさせません。

しかし、脱臼を繰り返すごとに軟骨が損傷し、骨関節炎が起こり、また、支えている靭帯の損傷も起こることで痛みを生じます

重度になれば膝を伸ばすことができなくなります

膝蓋骨脱臼の診断は、一般的に獣医師による膝の触診となります。

レントゲンを撮影することで、膝の脱臼を目視で確認することもできます

また、触診の状態から4段階のグレードに分類する方法も用いられています。

グレード1膝を伸ばした時に徒手にて膝蓋骨を滑車溝から脱臼させることができるが、指を離すとすぐに滑車溝に戻る。

グレード2膝を伸ばした時に徒手にて膝蓋骨を容易に脱臼させることができるが、指を離してもすぐには滑車溝に戻らない。後肢を内転・外転させると容易に膝蓋骨を脱臼・整復できる場合が多い。

グレード3膝蓋骨は常に脱臼しており、徒手にて整復が可能であるが、指を離すとすぐにまた脱臼してしまう。

グレード4膝蓋骨は常に脱臼しており、徒手にて滑車構内に整復するのが不可能である。脛骨のねじれなど、骨格に形態学的な異常の認められる場合がある。重症例では膝関節の伸展機構が破綻しており、膝関節を自力で伸展することができない。


ただし、症状とグレードは一致しなことも多く、グレード1であっても痛みが強い子もいれば、グレード4でも痛みを訴えない子もいます。

膝蓋骨は、前述の通り滑車溝を行ったり来たりすることで軟骨が磨り減り痛みを生じることもありますし、膝蓋骨を支えている靭帯が損傷を受け痛みが生じることがあります。

激しい痛みを訴えている場合には、靭帯での炎症・損傷が強い可能性もあります。


膝蓋骨脱臼の治療法には内科的と外科的な治療法があります。

内科的治療は保存療法とも言われ、痛みや炎症がある時に消炎鎮痛剤を用いたり、後肢の筋肉を強化するリハビリテーションなどを行うことで脱臼のリスクを減らします。

外科的治療は、手術で膝蓋骨をあるべき場所に整復します。骨を削ったり、時に大腿骨を短くして靭帯のテンションを緩めるようなことも行われたりします。

術式は専門家の間でも様々です。

ただし、もともと不安定なものを安定化させる手術なので、ときに、再脱臼を起こしてしまうこともあります

症状がない、もしくは気づきにくいこともあり、どの状態で手術をすべきかは獣医師によっても意見が分かれるところです。

実際にはグレード1という一番軽度の状態であれ、すでに骨の炎症、すり減りが起きていることがわかっていますが、痛みやその他の症状が全くなければ、経過観察とする場合が多いのかもしれません。

グレード4はグレード1〜3とは病態が全く異なり、骨の変形を伴ったり、膝を伸ばすことができずに不自然な歩き方になってしまうため、手術の適応となります。

この子はまだ1歳未満のトイプードルさん。
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座り方、歩き方が極端に異常を呈し、少しでも早く歩くと膝を曲げられないため、スキップしたようになってしまいます。


両側のグレード4という状態です。

YPC東京動物整形外科病院にて、詳細な検査を行い、膝蓋骨脱臼により骨の変形が起きてきていることから手術をした方が良いという結論になりました。
YPC東京動物整形外科病院 http://www.yamaguchi-pc.com/index.html

もちろん、両側の手術に加え、入院、そして術後の安静などは想像以上大変なものがあります。

何度も何度も飼い主さまと話し合い、最良の方法を考え、昨年末両側の膝蓋骨脱臼の整復手術を行いました

あれから半年、今はしっかりと両足使って歩くことができます!!

軽いジャンプや軽い速足などもまったく問題ありません。

まだまだ経過観察中ですが状態は非常に良好です
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膝蓋骨脱臼は一般の飼い主さまには発見が難しい場合が多いので、定期的に動物病院で健診を受けられることをお勧めいたします。

しまペットCLINIC
shima.pet.clinic@gmail.com