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くしゃみが止まらないパグ-麻酔下歯科症例③
2015年02月18日 (水) | 編集 |
先日の症例のお話です。

8歳パグのパン君です。


半年くらい前からなんとなくくしゃみが多いと感じ、ここ2ヶ月どんどんくしゃみが増え、夜寝ている時も自分のくしゃみでパン君が起きるようになったと先月当院にご連絡いただきました。

さっそくお家に伺ってみると、確かにずーーーーっとくしゃみくしゃみくしゃみ

まずは、食事内容、くしゃみのタイミング、生活環境などなど細かく細かくお話しを伺いました

身体検査上は特に大きな異常はありません。

パグやフレンチブルドッグ、シーズーなどの短頭種のくしゃみの診断は難しいです

鼻が短い為、環境アレルゲンがダイレクトに吸い込まれアレルギー性の炎症を起こす子もいますし、短頭種がゆえに、軟口蓋過長や扁桃腺炎などの上部気道疾患も多いです

また、年齢も中高齢となると、鼻の中のポリープや腫瘍、異物なども考えなくてはいけません

ですが、今回パン君に少しの期間抗生剤を飲んでもらったところ、飲んでいる間はくしゃみがかなり減ります

となると、一番疑わしい疾患が浮かんできます。

それは、歯の根っこの感染です。

4歳から毎日歯をシートで磨いているパン君。パッと見はキレイです。

ですが、シートだけで磨いている場合、歯周ポケットに歯垢がたまり歯の根っこで重度の感染・炎症を起こしているケースがあります。

犬や猫の上顎の歯の根っこはすぐ上に鼻が通っているため、その炎症が鼻にまで到達し、くしゃみ鼻汁を起こす事があります。


飼い主さまとよく相談し、今回歯周病が原因かわからないけれど、可能性はあるし、また、今の年齢で一度麻酔下による歯石除去はどのみち有用であることを説明し、先週の土曜日、私の大変信頼している歯科専門の町田先生に検査をお願いしました


麻酔をかけ、歯の検査を行ったところ、上の奥歯の歯周ポケットの深さを計ろうと器具をポケットに少し挿入したところ、なんとズボズボっと穴が開いており、口の中と鼻の穴がつながっていました(>_<)


やはり、パン君のくしゃみは歯周病が原因だったのです。

一番問題となっていた歯を抜歯するとポッカリ穴が開いていて、鼻の穴までつながっています


歯科用レントゲンで歯を確認し、結果、5本の抜歯となりました。

念のため鼻腔内もレントゲンを撮りましたが特に何もなさそうです(^^)


夕方お迎えに来てくださった飼い主さまと元気にお家へ


翌日はくしゃみがかなり減り、処置後3日目の今日はすっかりくしゃみなくなりました(*^^*)

自分のくしゃみで目が覚めてしまっていたパン君、これからはたっぷり寝てね

はやく縫った傷も良くなりますように!


さて、パグやフレンチブルドッグ、シーズーなどの短頭種の子達はその骨格上オーラルケアーは特に重要です。

なぜかというと、通常鼻の長い犬種では、どの歯も一列にキレイに並びます。

ですが、短頭種の子達は鼻をぎゅっと縮めてしまったので、顎に歯が入りきらないのです

入りきらない歯は、横を向いたり、2列になったりして生えます。

《模式図参照》


左側が一般的にお鼻の長い犬種の歯並びです。キレイに1列に並びます。
右側がパグやフレンチブルドッグなど短頭種の歯並びです。

青い矢印のように、歯が横に捻転していたり、赤い矢印のように入りきらずに内側に生えていたりします。

このように歯が入り組んでいるため、その隙間に歯垢歯石が付着し重度の歯周病となることがあります。

パン君も赤い矢印のところに歯が生えており、しかも2本隣接!

ここが原因でした。

短頭種の場合、こういった歯がある場合は若いうちに早期に抜いてあげることも時に有効となります。

また、シートは届かない場所であるため、ブラッシングが必ず必要です。

もし、なかなか上手に磨けない場合には、数年に一度麻酔下でしっかりとケアーするのも有効です

下の図で示したように、歯の根っこで感染が起き、赤い線で示したように、歯の上を通る鼻腔へと道が出来てしまったのです。


この病態はどの犬種でも起こり得ます。

くしゃみが多かったり鼻汁が出たり、何か気になる症状があればかかりつけにご相談くださいね

しまペットCLINIC
shima.pet.clinic@gmail.com


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