東京、千葉、神奈川、ペットの往診動物病院です。飼い主様の環境とその子にあった治療方法をご提案いたします。
体の柔軟性ー膝蓋骨脱臼 ・骨関節炎
2015年11月03日 (火) | 編集 |
先日興味深い論文を読みました

「生まれた時はどの犬も膝蓋骨が収まる溝は浅い。しかし、走ったり歩いたり動き回ることで溝が形成され、成長とともに安定化する。しかし、この成長期の大事な時期にケージ内でずっと過ごしたり、お散歩不足であったり、キャリーや抱っこなどで移動ばかりしていると溝の形成がされにくいために容易に左右に脱臼を起こしているのではないか」というものです。

つまり、以前は先天性と言われていた膝蓋骨脱臼。生まれた時からの運命。

ところが、最近では販売されるまでのケージ内での飼育や、自宅においてもケージ内で生活する時間が長いために後天性の膝蓋骨脱臼が多いのではとも言われています

【膝蓋骨脱臼;しつがいこつ脱臼】私たち一般臨床医は毎日といっても過言ではないほど膝蓋骨脱臼をしている犬たちに出会います。

膝蓋骨脱臼はその程度によって4段階にグレード分けをします。

飼い主さまから見て無症状であることがとても多いのでなかなか気付かれず、かかりつけの病院で初めて指摘される方も多いと思います

ただ、「無症状」に見えるため、私たち一般臨床医もどこから手術を勧めるべきか悩むところでもあります

今回ここをクリアにすべく東京都江東区にあるYPC東京動物整形外科病院に行ってきました
HP http://www.yamaguchi-pc.com/index.html


診察の様子や検査も快く見せてくださいました




膝蓋骨、つまり膝のお皿と言われる骨。
本来は下の図のように太ももの場所である大腿骨の先端の溝の中(滑車内)に挟まり、左右にずれることはありません。
b5a05abd3c71f1832316cd5ea481978c.jpg

しかしながら、小型~中型犬の多くで膝蓋骨が日常的に左右に脱臼を繰り返している子たちがいます

脱臼を繰り返すごとに骨関節炎が起こり、重度になれば膝を伸ばすことができなくなります。

また支えている靭帯の損傷もとても起こりやすくなります。

時間経過をした膝は軟骨がすり減り痛みを誘発します。

実際にはグレード1という一番軽度の状態であれ、すでに骨の炎症、すり減りが起きていることがわかっています。

早い段階だからこそ、骨の変形や軟骨の損傷が軽度であり、術後の成績も良いと言われる膝蓋骨脱臼の整復手術。

「言葉が話せない動物の痛みの原因を特定し、それを治療することが当院の目標です」と仰られる院長の山口伸也先生の思いにとても共感しました

山口先生から、こちらの病院での手術の適応時期、その理由、そして術後の経過など詳しくお聞きしました。



当院で診察している子たちのなかにも膝が外れやすい子たちがたくさんいます。

「あまり走らせないようにしています」とか「ジャンプしないようにしています」と言われることがありますが、でも実は、犬たちが走ったりジャンプしたりすることはとても大事なことなんです。

今現在骨折した直後であるとか、椎間板ヘルニアで痛みがあるといった炎症が起きている場合を除いて、高齢犬であっても積極的に運動することが体中の関節や筋肉を伸ばし、血行が促進され柔軟な体を作ります

多くは運動不足で体を動かさない、お留守番中ケージの中でそのままの体勢でいる、キャリーやバッグで長時間移動する、そういったことで血行不良となり関節機能が衰えていきます。

私たちもずっと正座していたら足がしびれちゃいますよね

もし、適度な運動で痛みが出るのであれば、安静にするのではなく、むしろ痛みの原因を解決してあげることがとても大事なことなのかもしれません。

YPCの山口先生も「特殊な場合を除いて、運動制限をかける必要はなく、基本的には高齢であってもしっかりと体を柔軟に動かすことがとても大事です」と仰られていました。

もちろん、今まであまり体を動かしていない子が、いきなり過度の運動をすれば人と同じで関節や筋肉を痛めてしまいます

今は歩道が整備され、なかなかでこぼこした山道を歩くことは少ないかと思いますが、適切なウォーミングアップをし、その後、普段のお散歩でも階段の上り下りや坂道、何かをまたぐ、何かをくぐる、時には犬同士で360度転げ回って遊ぶ、そんな時間をぜひ犬たちにさせてあげてくださいね


そういった小さなことを心がけるだけで股関節を始め様々な関節や筋肉を動かし、とても良いストレッチとなります。

また、膝蓋骨脱臼はもちろん、高齢の子や、関節疾患を持っている子は患部の血流が悪いために血行不良を起こしその部分がとても冷えています

また、冷えることでより柔軟性が失われさらに関節や筋肉を痛めることにつながります。

11月28日に体のあたため方、そしてご自宅やお散歩中にできる関節や筋肉の動かし方などをお伝えするワークショップを行います

詳細は次回のブログでお伝えしますね

しまペットCLINIC
shima.pet.clinic@gmail.com

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