東京、千葉、神奈川、ペットの往診動物病院です。飼い主様の環境とその子にあった治療方法をご提案いたします。
加齢に伴う変化ー投薬の難しさ
2015年11月25日 (水) | 編集 |
先日の往診症例です

17歳の猫ちゃんチンチラゆりちゃんです




『薬をあげるのが本当に大変なんです・・・』とご連絡いただきました

ゆりちゃんは3年前にふらつきが見られ、頭が傾き、すぐに脳のMRIを撮影されました

しかし、画像上では異常はなし

ですが、かかりつけの動物病院の神経科で触診から水頭症と診断されました

それから今日までお薬を毎日何種類もずーーーーーっと飲んできました

薬。投薬。薬。投薬。薬。投薬。

私たち獣医師は簡単に薬を処方しますが動物に投薬、特に猫に投薬って本当に本当に難しいんです

ご飯に混ぜてもその部分だけ食べないし、投薬に便利なペーストなどに混ぜても嫌がるし、挙げ句の果てには薬もゴハンも一緒に全部吐き出す・・・

でも、私たち獣医師が薬を処方したら飼い主さまは何が何でも飲ませないと!っと思われ、その投薬に一生懸命になり、気づいたら、お互いにすごい形相で毎日戦っている・・・。そんな事はありませんか?

もちろん、病気を治すため、その状態を改善させるためにお薬は飲ませるのですが、もし、その投薬がすごーーーーっくお互いもしくはどちらかのストレスになっているのだとしたら、生活の質はぐっと下がります。

だからと言って飲ませなくて良いという意味ではなく、同じ作用の薬でも液体や錠剤、粉など形状が異なるものもありますし、薬のメーカーによっても風味が異なるものがあります

実はゆりちゃん、液体の薬を1日15ccくらい飲む指示が出ていたのですが、この薬が嫌で嫌で大変だったんです

飲むのは嫌がるし、飲んだら吐き出すし、飲めたと思ったら30分後にフードと一緒に吐き出すし・・・。

そんなやりとりの毎日。出かける3時間前からこの1連を行わなくてはいけないのでそれはそれは大変です

飼い主さまの精神的にも相当ダメージ・・。ついつい「飲みたくないなら飲まなくていいです!!」って叫びたくもなります

でも言った後、飼い主さまの事をキョトンと不思議そうに見つめるゆりちゃん。

そんな姿を見てますます自己嫌悪に陥る飼い主さま。

これは良くないと判断しました。

お家で脳神経検査をしても特に異常はなさそうです。

こんなに投薬がお互いにストレスとなっていると、もし薬の効果で数日寿命が延びていたとしても、今日という日はものすごいストレス。むしろ寿命がお互いに縮まっているのでは??

もう一度薬を見直すために、大学受診を提案しました

今回ゆりちゃんと一緒に訪れたのは、日本獣医生命科学大学付属動物病院の脳神経科です。数年前に私も研究生としてこちらに所属していたので安心して受診することができます
http://www.nvlu.ac.jp/amedical/index.html/

3年前に撮ってもらったというMRI画像も提出し、ゆりちゃんの診察をお願いしました。


診察室にはズラリと研究生や学生さんたちが!


なんとゆりちゃん。診察結果は「加齢」

やはりMRI画像から水頭症はないし、神経異常もない。

ただ急にゆりちゃんをひっくり返すと(*検査のためです)目がぐるぐるぐる!と揺れます

もう一度ひっくり返すとまたぐるぐるぐる

つまり、耳の奥、鼓膜の奥には平衡感覚を保っている器官があります

加齢とともに、平衡感覚を保つ機能が衰え、急な動きについていけなくなることがあります。

なので、ゆりちゃん、寝起きなどは特に起き上がった時のバランスを保つことができないので頭が傾いてしまうのです。

でもしばらくすると徐々に傾きが和らぎ、まっすぐに歩くことができます。


もちろん、高齢なのでMRI画像に写らないような微小な脳血栓はあるとは思います。人も年を取ると少なからず塞栓があると言われますよね。

また、レントゲン上では、背骨の不安定性はあります。


青い矢印の箇所と赤い矢印の箇所を見てください。


で示した背骨(椎骨)と背骨の間にはありませんが、で示した部分には骨と骨をつなぐように、下側に新しい骨ができているのがわかりますか?

背骨に不安定性があるので、新しい骨が作られ不安定なものを安定させようとしているのです。

加齢に伴って見られることが多いです。

でも、水頭症はないと判断し、一度全ての投薬を止めてみるようにアドバイスをいただきました。

その瞬間飼い主さまの目からたくさんの涙が

どれだけ今日まで大変だったのかが伺えます。

帰りの車の中、ゆりちゃんもなんだかほっとしているように見えます(^-^)


投薬を止めて数週間。ご自宅に伺ってきましたが、特に異常は出ていません

すりすりーと来てくれました(^^)


飼い主様からもこんなメールをいただきました
「ゆりは、たくさん薬を飲んでいた時よりもはるかに食欲があり、意識もはっきりしてるように思います!」

今は毎日穏やかに過ごしています。

17歳のゆりちゃん、これから加齢に伴う関節炎や、その他色んなことが起きてくるとは思います。

でも一緒に上手に向き合っていきましょうね

やれることはたくさんあります

しまペットCLINIC
shima.pet.clinic@gmail.com

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