東京、千葉、神奈川、ペットの往診動物病院です。飼い主様の環境とその子にあった治療方法をご提案いたします。
胆嚢摘出したブーフくん-胆嚢粘液嚢腫
2016年02月24日 (水) | 編集 |
先日の症例報告です

13歳のミニチュアダックスのブーフくんです
かかりつけの動物病院の定期検診で胆嚢に異常があると診断されました

胆嚢(たんのう);皆さま一度は聞いた事があるかと思います

私たち人間にも胆嚢はあります。

胆嚢は肝臓に包まれるように存在します。

相変わらず恥ずかしい絵を・・・。なんかバランスがおかしい(´・_・`)
足が揃っているのがいけないのかしら・・。
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肝臓で作られた胆汁を蓄える働きがあります。

胆汁は特に脂肪分の消化を助ける働きがあり、胆嚢は必要に応じて収縮して、総胆管(図のピンクの→)を通して十二指腸へ送り出し食物の消化を助けます
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胆嚢内の胆汁が粘性を持ち、泥状になった状態を「胆泥;たんでい」と言います。

当然、粘性を持つので、細い胆管や総胆管を通りにくくなり、胆嚢内に留まってしまいます

また、胆泥の他に、胆嚢内がゼリー様物(ムチン)の物質で置き換わってしまう疾患を胆嚢粘液嚢腫;たんのうねんえきのうしゅと言います

左が胆泥症右が胆嚢粘液嚢腫です。
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皆さまのワンちゃんの中にも、「胆泥が溜まっています」と診断された子もいらっしゃるのではないでしょうか?

もしくは、「胆嚢粘液嚢腫」と診断された子もいらっしゃるかもしれません。

胆泥、胆嚢粘液嚢腫・・・。実はまだまだ発生機序などはっきりとわかっていることが少なく、また無症状であることも多いので私たち獣医師の中でも治療をどうすべきか悩むところです

胆泥に関する現在の考え方に関しては、後日アップするとして、今回はブーフくんが診断された胆嚢内がゼリー様物質で置き換わってしまう、この「胆嚢粘液嚢腫」について

胆汁が粘性を持った胆泥と、胆嚢粘液嚢腫は基本的には異なる疾患と思ってください。

胆泥があると胆嚢粘液嚢腫になるというデータも今はまだ特に出ていません

ただ、胆嚢粘液嚢腫の疾患で、胆泥が溜まっていない疾患はないそうなので、関連性を否定はできないのですが・・。

ただ、ひとつわかっていることは、胆泥と胆嚢粘液嚢腫は、よほど初期じゃない限り、エコー検査で区別がつきます

そして、胆嚢粘液嚢腫と診断し手術を行った約50頭の犬では、症状の有無やエコーの見え方に関わらず、2−3割の子がすでに胆嚢破裂を起こしていたというデータがあります

胆嚢粘液嚢腫は胆嚢内がゼリー様物質に置き換わり、内腔が非常に狭くなり、胆嚢の収縮も、正常の子の半分以下になってしまいます

また、破裂を起こした胆嚢は周囲の組織もダメージを受け、組織がもろくなっているため、手術自体も難しくなります

なので、私個人的な意見といたしましては、「胆嚢粘液嚢腫」と診断されたならば、できるだけ健康なうちに時期を見て胆嚢を摘出すべきかなぁと考えています。

胆嚢はなくても良いのか!?と心配される方もいらっしゃると思いますが、先ほどの絵にもあるように、胆嚢は肝臓で作られた胆汁を貯めておく臓器。

もちろん、なくて良い臓器なんてないですが、でも胆嚢は仮になくても、肝臓から胆汁はちゃんと分泌されていますので大丈夫です。貯蔵する場所がなくなるだけです。

その後の食事も生活も基本的には今まで通りで問題ありません

ブーフくんは、症状もなく、とても元気でした。

ですが、かかりつけの病院で、胆嚢粘液嚢腫が進行し、胆管にも負担がかかり胆嚢も胆管も腫れている危険な状態であるため、手術したほうが良いと診断され、昨年末手術をされました

摘出した胆嚢はやはり破裂寸前で、胆嚢内もゼリー様物質で置き換わり、胆嚢としての機能はもはや果たしていなかった様です
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私自身も、手術をして良かったと納得した症例です。

手術を終えたブーフくん。飼い主さまのご面会にしっぽをふる元気
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ところが・・・この後実は、長年負担をかけてきた胆管に術後小さな穴が開き、緊急手術が再度行われました。

飼い主さまはあんなに元気だったブーフくんが、手術をしたことで具合が悪くなり再度手術になったことでどれだけご自身を責められたことか・・

でも、ブーフくんの摘出した胆嚢はすでに炎症が起き、経過を見ていたら、おそらく破裂していたことと思います。

手術をしたことが間違いのなのではなく、それほどの状態だったということ。

ブーフくんのかかりつけの病院の先生や看護師の方たちがブーフくんが術後快適に過ごせるようにと、自宅での治療をご提案してくださったそうです

病院スタッフが点滴などを搬入し、自宅治療の準備が整いました。
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まだ状態が安定せず、飼い主さまも不安な気持ちがたくさん。

でも、動物は病気を理解できません。飼い主さまがなぜ悲しんでいるのか、なぜ不安に思っているのかも。

だから、いつものように優しく声をかけて元気に接してあげて下さいね

動物には生きる力がたくさんあります

大好きな飼い主さまの存在がその力をさらにアップさせてくれます。

手術から約2ヶ月。ようやく血液検査の数値も安定し、ブーフくんもすっかり元気になりました

今は腎臓も肝臓も心臓も元気いっぱい。
ブーフくん13歳、頑張ったね(^^)
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胆嚢粘液嚢腫はエコー検査で診断することが可能です。

また、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患が関与することも示唆されています。

どちらも早期発見が可能な疾患ですので、どうぞかかりつけで定期検査をされてくださいね

しまペットCLINIC
shima.pet.clinic@gmail.com


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